寿司屋が教えるスルメイカの全て!寿司での魅力・旬・栄養・安全対策

寿司屋で定番のネタ、スルメイカ。コリコリとした独特の食感と、噛むほどに広がる濃厚な旨味は、多くの寿司ファンを魅了します。
しかし、「スルメイカって、ヤリイカとどう違うの?」「旬はいつ?」「家で食べる時、何か気をつけることはある?」など、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなスルメイカの寿司について、元仲卸人という専門家の視点も交えながら、その魅力と知識を徹底的に解説します。
スルメイカの生態や特徴といった基本的な情報から、美味しい旬の時期、新鮮な選び方、そしてご家庭で安全に楽しむためのアニサキス対策まで、あなたが知りたい情報を網羅しました。
この記事を読めば、以下のポイントがわかります。
- スルメイカの正体:生態、特徴、ヤリイカとの明確な違い
- 一番美味しいのはいつ?:旬の時期、主な産地、近年の動向
- 寿司ネタとしての魅力:独特の食感と濃厚な旨味の秘密
- 安全に楽しむために:新鮮な選び方と知っておくべきアニサキス対策
- 寿司だけじゃない!:刺身から煮物まで、美味しい活用レシピ
- 意外な健康パワー:スルメイカの栄養価と期待される効果
- 自宅で挑戦!:簡単にできる寿司の握り方とコツ
これを読めば、次にスルメイカ寿司を食べる時、その味わいがより一層深く感じられるはずです。
また、ご自宅でスルメイカを調理する際にも、自信を持って安全に、そして美味しく扱えるようになるでしょう。
さあ、奥深いスルメイカの世界へ一緒に飛び込んでみませんか?
スルメイカとはどんなイカ?生態と特徴を徹底解説
「寿司屋で見かけるイカだけど、スルメイカって具体的にどんなイカなんだろう?」
「ヤリイカとは違うの?」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
スルメイカは、日本の食卓や寿司ネタとして非常によく利用される、私たちにとって最も身近なイカの一つです。
独特の風味と食感を持ち、刺身、寿司、煮物、焼き物、そして干物(するめ)など、様々な料理でその美味しさを楽しめます。
ここでは、元仲卸人の視点も交えながら、スルメイカの生態や特徴について詳しく解説していきましょう。
スルメイカの分類と基本情報
スルメイカは、学名を Todarodes pacificus といい、ツツイカ目アカイカ科(またはスルメイカ科)に分類されるイカです。
日本近海を含む北太平洋に広く分布しており、日本のイカ漁獲量の多くを占める重要な水産資源でもあります。
- 分類: 軟体動物門 頭足綱 ツツイカ目 アカイカ科 スルメイカ属
- 学名: Todarodes pacificus
- 別名: マイカ(真烏賊)、バカイカ、トンキュウなど地域によって様々な呼び名があります。
スルメイカの生態:回遊と短い寿命
スルメイカは、季節によって生息域を変える「回遊」を行うイカとして知られています。
主な回遊ルートは以下の通りです。
- 生まれ: 主に東シナ海や九州周辺の暖かい海域で生まれます。
- 北上: 春から夏にかけて、黒潮や対馬暖流に乗ってエサを追い求めながら日本海や太平洋を北上します。
- 成長: 北海道周辺などの冷たい海域で成長し、豊富なプランクトンや小魚を食べて大きくなります。
- 南下・産卵: 秋から冬になると、成熟したスルメイカは産卵のために南下を開始し、生まれた海域に戻って産卵した後、多くはその短い一生を終えます。
スルメイカの寿命は約1年と非常に短命です。
この短い期間に成長、回遊、産卵というサイクルを繰り返しているのです。
肉食性で、主にプランクトン、甲殻類、小魚などを捕食します。
スルメイカの形態的特徴
スルメイカを見分けるための、見た目の特徴をいくつかご紹介します。
- 外套膜(胴体): やや筋肉質で、丸みを帯びた筒形をしています。成長すると外套長(胴の長さ)は25cm〜30cm程度になります。
- ヒレ: 胴体の後方(先端部分)に菱形のヒレがついています。このヒレの大きさは、外套長の約3分の1程度と、ヤリイカなどに比べると比較的小さいのが特徴です。
- 腕: 10本の腕を持ち、そのうち2本は他の8本より長い「触腕(しょくわん)」です。この触腕を使ってエサを捕らえます。
「スルメイカ」の名前の由来
なぜ「スルメイカ」と呼ばれるのでしょうか?その名の通り、古くから「するめ」に加工されてきたことが由来とされています。
「するめ」は、墨を吐く群れ「墨群(すみむれ)」が転じたという説や、すすんで(=容易に)群れることから「進群(すすめ)」が転じたという説など諸説あります。
いずれにしても、古くから日本人にとって重要な食材であったことがうかがえますね。
このように、スルメイカはその生態や特徴を知ることで、より一層親しみを感じられるイカです。
スーパーなどで見かけた際には、ぜひその姿を観察してみてください。
スルメイカの旬はいつ?最新情報と美味しい時期・産地
「スルメイカの一番美味しい時期っていつなんだろう?」
「どこの産地のスルメイカが有名なの?」
せっかくスルメイカを食べるなら、最も美味しい「旬」の時期に味わいたいですよね。
スルメイカは回遊魚ならぬ「回遊イカ」であるため、漁獲される地域によって旬の時期が少し異なります。
ここでは、スルメイカの旬に関する基本的な情報から、最新情報にも触れつつ、美味しい時期や主な産地について解説します。
スルメイカの主な旬の時期
スルメイカの旬は、一般的に年に2回あると言われますが、これは成長段階と漁獲地域によるものです。
- 春〜夏(4月〜8月頃): この時期は、主に太平洋側や日本海側を北上してくる若いスルメイカ、いわゆる「若イカ」や「麦イカ」と呼ばれるものが獲れます。特徴としては、身がまだ小さく柔らかいことが挙げられます。生で寿司や刺身として楽しむのに向いています。
- 秋(9月〜12月頃): 夏に北の海でたっぷりとエサを食べ、大きく成長したスルメイカが産卵のために南下してくる時期です。この時期のスルメイカは、身が厚くなり、旨味も増して濃厚な味わいが楽しめます。加熱調理(煮物、焼き物)にも適しており、もちろん寿司ネタとしても食べ応えがあります。
このように、スルメイカはほぼ一年を通して日本のどこかで漁獲されますが、「いつ、どこで獲れたか」によって味わいが異なるのが面白いところです。
主な産地と漁獲時期
スルメイカは日本近海で広く漁獲されますが、特に有名な産地とそのおおよその漁獲時期は以下の通りです。
- 北海道: 日本最大の漁獲量を誇ります。特に函館などが有名で、主に**夏から秋(7月〜11月頃)**にかけて旬を迎えます。イカ釣り漁船の漁火(いさりび)は夏の風物詩ですね。
- 青森県: 八戸港などが有名で、北海道と同様に**夏から秋(7月〜12月頃)**が主な漁期です。津軽海峡周辺で獲れるスルメイカは身が締まっていると言われます。
- 石川県(能登半島): 能登町の小木港は日本有数のイカの水揚げ基地です。こちらも**夏から秋(7月〜11月頃)**が最盛期となります。
- その他: 新潟県、山形県、兵庫県(日本海側)などでも漁獲されます。
【最新情報】近年の漁獲動向について
近年、スルメイカの漁獲量は全国的に減少傾向にあるというニュースを耳にしたことがあるかもしれません。
海水温の上昇などの海洋環境の変化や、外国漁船による漁獲などが影響していると考えられています。
(出典:水産庁 「イカ類の資源評価」等を参照)
このため、以前に比べて価格が変動したり、手に入りにくくなる時期があるかもしれません。
最新の漁獲状況や市場の動向に注意を払うことも、美味しいスルメイカに出会うためには大切になってきています。
旬の時期や産地を知ることで、より一層美味しいスルメイカを選ぶ手助けになります。
ぜひ、お店でスルメイカを見かけた際には、産地や時期にも注目してみてください。
スルメイカとヤリイカ、寿司ネタとしての違いは?味・食感・見た目を比較
寿司屋のネタケースに並ぶイカ。
よく見ると「スルメイカ」と「ヤリイカ」、どちらも定番ですよね。
「でも、この二つ、具体的にどう違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
どちらも美味しいイカですが、実は見た目から味、食感、さらには旬や価格帯まで、様々な違いがあります。
ここでは、寿司ネタとしてのスルメイカとヤリイカの違いを、項目ごとに分かりやすく比較してみましょう。
これを読めば、あなたもイカ通になれるかもしれません。
見た目の違い:形で簡単に見分けられる!
まず、一番分かりやすいのが見た目の違いです。
- スルメイカ: 胴体が太く、やや丸みを帯びた筒形をしています。ヒレは胴体の先端に菱形でついていますが、全体の長さに対して比較的小さめです(胴の長さの1/3程度)。
- ヤリイカ: 名前(槍烏賊)の通り、胴体が細長く、槍の穂先のような形をしています。ヒレは胴体の後半部分に長くついており、胴の長さの半分程度を占めることもあります。
寿司ネタになった状態でも、注意深く見るとスルメイカの方がやや厚みがあり、ヤリイカの方が細長い形状をしていることが多いです。
味と食感の違い:好みはどっち?
寿司として味わう上で最も気になるのが、味と食感の違いでしょう。
- スルメイカ:
- 味: 濃厚な旨味とイカ特有の風味が強いのが特徴です。噛めば噛むほど甘みと旨味が出てきます。
- 食感: 筋肉質な身質のため、しっかりとした歯ごたえ、やや硬めの食感が楽しめます。コリコリとした食感が好きな方におすすめです。
- ヤリイカ:
- 味: 上品で繊細な甘みが特徴です。クセが少なく、あっさりとした味わいです。
- 食感: 身が柔らかく、ねっとりとした繊細な食感です。口の中でとろけるような感覚があります。
どちらが良いというわけではなく、濃厚な旨味と歯ごたえのスルメイカ、上品な甘みと柔らかさのヤリイカ、それぞれの個性が魅力です。
シャリとの絡み方も異なり、寿司としての楽しみ方も変わってきます。
旬と価格帯の違い
旬の時期も異なります。
前の見出しで触れたように、スルメイカは主に夏から秋にかけて旬を迎えますが、ヤリイカは主に冬から春にかけて旬を迎えます。
漁獲量が多い時期に、より美味しいものが手に入りやすくなります。
価格帯については、一般的にヤリイカの方が漁獲量が少なく、高級イカとして扱われることが多いため、スルメイカよりもやや高価な傾向があります。
ただし、これは時期やサイズ、漁獲状況によって変動します。
比較まとめ:スルメイカ vs ヤリイカ
特徴 | スルメイカ | ヤリイカ |
見た目 | 胴が太く丸み、ヒレは小さい | 胴が細長く槍状、ヒレは大きい |
味 | 濃厚な旨味、イカらしい風味 | 上品な甘み、あっさり |
食感 | しっかりした歯ごたえ、コリコリ | 柔らかい、ねっとり、繊細 |
旬 | 主に夏〜秋 | 主に冬〜春 |
価格帯 | 比較的安価 | やや高価な傾向 |
寿司ネタ | 噛むほど味が出る、食べ応えあり | 口溶けが良い、上品な味わい |
このように、スルメイカとヤリイカはそれぞれ異なる魅力を持つイカです。
寿司屋で注文する際や、スーパーで選ぶ際には、ぜひこれらの違いを思い出して、その時の気分や好みに合わせて選んでみてくださいね。
寿司ネタとしてのスルメイカの魅力:独特の食感と旨味を味わう
数ある寿司ネタの中でも、イカは定番中の定番。
その中でもスルメイカは、独特の存在感を放っています。
ヤリイカのような繊細さとはまた違う、力強い魅力があるのです。
では、寿司ネタとしてのスルメイカの魅力とは、具体的にどのような点にあるのでしょうか?
その秘密は、何と言ってもその独特の食感と、噛むほどに広がる濃厚な旨味にあります。
まず、スルメイカの魅力を語る上で欠かせないのが、その食感です。新鮮なスルメイカは、しっかりとした歯ごたえがあり、口に入れると「コリッ」あるいは「パツッ」とした小気味よい食感が楽しめます。
これは、スルメイカの筋肉質な身質によるものです。
この弾力のある食感は、他のイカや魚介ネタではなかなか味わえない、スルメイカならではの個性と言えるでしょう。
寿司としてシャリと一緒に頬張ると、シャリの柔らかさとスルメイカの歯ごたえのコントラストが絶妙なハーモニーを生み出します。
次に、食感と共に魅力的なのが、その旨味と風味です。
スルメイカは、噛みしめるごとにじんわりと濃厚な旨味と甘みが口の中に広がります。
ヤリイカの上品な甘さとは異なり、イカ本来の力強い風味がしっかりと感じられるのが特徴です。
この濃厚な旨味は、淡白なシャリとの相性も抜群。
わさび醤油を少しつけることで、スルメイカの甘みが一層引き立ち、後を引く美味しさとなります。
さらに、寿司ネタとしてのスルメイカは、飾り包丁の入れ方によっても食感や味わいが変化する奥深さがあります。
細かく包丁を入れることで、硬めの身質が適度に和らぎ、シャリとの一体感が増し、醤油の乗りも良くなります。
職人さんの技術によって、スルメイカの魅力が最大限に引き出されるのです。
このように、独特の歯ごたえと噛むほどに増す濃厚な旨味、そしてシャリとの相性の良さ。
これらが、寿司ネタとしてスルメイカが長く愛され続ける理由であり、その大きな魅力なのです。
次に寿司屋さんに訪れた際は、ぜひスルメイカならではの食感と旨味を意識して味わってみてください。

美味しいスルメイカ寿司のために!新鮮な選び方と知っておくべきアニサキス対策
美味しいスルメイカ寿司を味わうためには、何よりも新鮮なスルメイカを選ぶことが大前提です。
そして、家庭で生のイカを扱う上で絶対に知っておくべきなのが、食中毒の原因となる寄生虫「アニサキス」への対策です。
ここでは、元仲卸人の経験に基づいた新鮮なスルメイカの選び方のコツと、安全に楽しむためのアニサキス対策について、詳しく解説します。
目利きが伝授!新鮮なスルメイカの選び方
スーパーや魚屋さんでスルメイカを選ぶ際、どこを見れば新鮮か判断できるのでしょうか?
いくつかポイントがあります。
- 目: まずは目を見てください。黒目がくっきりと澄んでいて、全体的に盛り上がっているものが新鮮な証拠です。白く濁っていたり、目が窪んでいるものは鮮度が落ちています。
- 体色と透明感: 新鮮なスルメイカの胴体は、透明感があり、美しい飴色(やや赤褐色)をしています。表面にある斑点模様(色素胞)がはっきりしているものも新鮮です。時間が経つと白っぽく濁ってきます。
- 身のハリ: 触れる場合は、指で軽く押してみてください。新鮮なものは身に弾力(ハリ)があります。ぶよぶよと柔らかくなっているものは避けましょう。
- 皮の状態: 皮が身にピシッと張り付いているものが新鮮です。皮がめくれていたり、剥がれかかっているものは鮮度が落ちている可能性があります。
- 内臓の状態(ワタ): 可能であれば、内臓(ワタ)がしっかりしていて、潰れていないか確認しましょう。ワタが傷んでいると、身にも影響が出やすくなります。
これらの点を総合的に見て、より新鮮な状態のスルメイカを選ぶことが、美味しい寿司ネタへの第一歩です。
最重要!安全のためのアニサキス対策
スルメイカを生で食べる際に、最も注意が必要なのがアニサキスという寄生虫です。
アニサキスは様々な魚介類に寄生しており、スルメイカも例外ではありません。
アニサキスが寄生した魚介類を生で食べると、激しい腹痛などを引き起こす食中毒(アニサキス症)になる可能性があります。
知っておくべき重要な点は、アニサキスは主にイカの内臓に寄生していますが、イカが死んで時間が経つと、内臓から筋肉(身)の部分へ移動することがあるということです。
そのため、安全にスルメイカの寿司や刺身を楽しむためには、以下の対策を知っておくことが非常に重要です。
- 速やかな内臓処理(最優先!): 購入したら、できるだけ早く内臓を取り除きましょう。アニサキスが身へ移行するのを防ぐ最も効果的な方法の一つです。
- 目視での確認: 調理する際、身を明るい場所でよく観察し、半透明〜白色の糸状のアニサキス(長さ2〜3cm程度)がいないか確認しましょう。特に内臓が付いていた腹側の身は念入りにチェックします。
- 冷凍処理(効果大): アニサキスは低温に弱いため、-20℃以下で24時間以上冷凍すると死滅します。これが家庭でできる最も確実な安全対策の一つです。(出典:厚生労働省 「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」) 一度冷凍すれば、解凍して生で食べても安全です。
- 加熱処理: アニサキスは熱にも弱く、70℃以上で1分以上(または60℃なら1分以上)加熱すれば死滅します。寿司には向きませんが、煮物や焼き物にする場合は有効な対策です。
- 細かく切る・よく噛む: 包丁で細かく切り込みを入れたり、よく噛んだりすることでアニサキスを物理的に損傷させる対策もありますが、完全とは言えません。補助的な対策と考えましょう。
生でスルメイカを食べることは、美味しい反面、アニサキスのリスクが伴います。
これらの対策をしっかり行い、少しでも不安がある場合は、信頼できるお店で購入するか、加熱調理を選ぶようにしましょう。
正しい知識と対策で、安全に美味しいスルメイカ寿司を楽しんでください。
寿司だけじゃない!スルメイカの美味しい食べ方:刺身から煮物まで簡単レシピ紹介
スルメイカといえば、寿司ネタや刺身が定番ですが、その美味しい食べ方はそれだけではありません。
独特の旨味と食感を持つスルメイカは、加熱することでまた違った魅力を発揮し、様々な料理で活躍してくれる万能食材なのです。
ここでは、新鮮なスルメイカが手に入った時にぜひ試してほしい、寿司以外の美味しい食べ方を、簡単なレシピのポイントと共にご紹介します。
1. 新鮮さを堪能!スルメイカの刺身(イカソーメン)
まずは王道、刺身です。新鮮なスルメイカならではの透明感とコリコリとした食感を存分に楽しめます。
- ポイント:
- 皮を丁寧に剥き、薄皮も取り除くことで口当たりが良くなります。
- 胴体を開き、繊維に沿って細切りにすると「イカソーメン」に。つるりとした喉越しが楽しめます。
- 飾り包丁を細かく入れると、醤油が絡みやすくなり、食感も少し柔らかくなります。
- ワサビ醤油、生姜醤油、または酢味噌でいただくのがおすすめです。
- アニサキス対策として、前述の冷凍処理を行うとより安全です。
2. 定番の味!スルメイカと大根の煮物
イカの煮物といえば、大根との組み合わせが定番ですよね。
スルメイカの旨味が大根に染み込み、ご飯が進む一品です。
- ポイント:
- 大根は下茹でしておくと味が染み込みやすくなります。
- スルメイカは加熱しすぎると硬くなるので、煮込みすぎないのがコツ。煮汁が煮立ってから加え、さっと火を通す程度が良いでしょう。
- 輪切りにした胴体だけでなく、ゲソ(足)やワタ(内臓)も一緒に煮込むと、より深いコクと旨味が出ます。ワタを加える場合は、新鮮なものを選び、墨袋を取り除いてから使いましょう。
- 味付けは醤油、砂糖、みりん、酒を基本にお好みで調整します。
3. 香ばしさがたまらない!スルメイカのゲソ焼き・ワタ焼き
胴体を刺身や寿司で楽しんだ後のゲソやワタも、捨てずに美味しくいただきましょう。
特に、七輪やグリルで焼くと絶品です。
- ゲソ焼き
- ゲソを食べやすい大きさに切り、塩、胡椒、または醤油やみりんなどで下味をつけて焼きます。
- プリプリとした食感と香ばしさが楽しめます。レモンや七味唐辛子を添えても美味しいです。
- ワタ焼き(ホイル焼き)
- 新鮮なワタの墨袋を取り除き、アルミホイルに乗せ、酒、醤油、みりん少々を加えて包み焼きにします。
- 濃厚でクリーミーなワタの旨味は、日本酒との相性も抜群です。ネギやキノコ類と一緒に焼くのもおすすめです。
4. おつまみにも!スルメイカのバター醤油炒め
簡単に作れて、お酒のおつまみにも、ご飯のおかずにもなるのがバター醤油炒めです。
- ポイント:
- スルメイカは輪切りや短冊切りにします。
- フライパンにバターを熱し、スルメイカをさっと炒めます。火を通しすぎないように注意しましょう。
- 仕上げに醤油を回しかけ、香りを立たせます。
- お好みでニンニクやアスパラ、キノコなどを加えても美味しいです。
5. 彩り豊か!スルメイカと野菜のマリネ
さっぱりと食べたい時にはマリネもおすすめです。
- ポイント:
- スルメイカはさっと茹でるか、軽く炒めて火を通し、食べやすい大きさに切ります。
- 玉ねぎ、パプリカ、きゅうりなど、お好みの野菜と合わせます。
- 酢、オリーブオイル、塩、胡椒、砂糖少々で作ったマリネ液に漬け込み、冷蔵庫で冷やします。
- スルメイカの旨味と野菜のシャキシャキ感、酸味のバランスが美味しい一品です。
このように、スルメイカは寿司や刺身だけでなく、煮物、焼き物、炒め物、マリネなど、実に多様な食べ方でその美味しさを発揮します。
ぜひ、色々なレシピに挑戦して、スルメイカの奥深い魅力を発見してみてください。
スルメイカの栄養価は?知られざる健康効果も解説
スルメイカの美味しいさに夢中になっていると忘れがちですが、実はこの身近なイカには、私たちの体に嬉しい栄養素がたくさん含まれていることをご存知でしょうか?
美味しいだけでなく、健康維持にも役立つ可能性を秘めているのです。
ここでは、スルメイカが持つ主な栄養価と、それによって期待される「知られざる」健康効果について詳しく解説します。
スルメイカの栄養面での大きな特徴は、「高タンパク質・低脂質」であることです。
良質なタンパク質は、筋肉や臓器、皮膚、髪など、私たちの体を作る上で欠かせない基本的な栄養素です。
一方で脂質は比較的少ないため、ヘルシーな食材と言えます。ダイエット中の方や、健康的な食生活を心がけている方にとっても嬉しいポイントですね。
(出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」)
さらに、スルメイカには以下のような注目すべき栄養素も豊富に含まれています。
- タウリン: 栄養ドリンクなどでもお馴染みのタウリン。スルメイカにはこのタウリンが豊富に含まれています。タウリンは、肝臓の働きを助けたり、血圧やコレステロール値の調整をサポートしたり、疲労回復を助けたりと、様々な生理作用に関わることが知られています。特に、イカ類のタウリン含有量は魚介類の中でもトップクラスです。
- ビタミンE: 強い抗酸化作用を持つことで知られるビタミンです。「若返りのビタミン」とも呼ばれ、細胞の老化を防いだり、血行を促進したりする働きが期待されます。
- ビタミンB12: 赤血球の生成を助け、貧血を予防したり、神経機能を正常に保ったりする上で重要なビタミンです。
- 亜鉛: 味覚を正常に保つ働きや、免疫機能の維持、皮膚や粘膜の健康維持にも関わる重要なミネラルです。
- セレン: ビタミンEと同様に、強い抗酸化作用を持つミネラルで、体のサビつきを防ぐ働きが期待されます。
このように、スルメイカは単に美味しいだけでなく、タウリンをはじめとする様々な栄養素を手軽に摂取できる優れた食材なのです。
日々の食卓にスルメイカを取り入れることで、これらの栄養素がもたらす健康効果も期待できるかもしれません。
ただし、スルメイカにはプリン体も含まれています。
痛風など、プリン体の摂取を気にされている方は、食べ過ぎに注意し、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
どんな食材も適量を守って、美味しく健康的に楽しみましょう。
自宅で挑戦!スルメイカ寿司の握り方とコツ
「新鮮なスルメイカが手に入ったから、自宅で寿司を握ってみたい!」
そう思っても、なんだか難しそう…と感じていませんか?確かに職人さんのように完璧に握るのは難しいかもしれませんが、いくつかのコツさえ掴めば、自宅でも十分に美味しいスルメイカ寿司を楽しむことができます。
ここでは、スルメイカ寿司を自宅で握るための簡単な手順と、美味しく仕上げるためのコツをご紹介します。ぜひ気軽に挑戦してみてください。
準備するもの
まずは基本的な材料と道具を準備しましょう。
- スルメイカ: 新鮮なものを選び、皮むき・内臓処理・薄皮取りを済ませておく。(前の見出し「新鮮な選び方とアニサキス対策」参照)
- 寿司飯(シャリ): 温かいご飯に寿司酢を混ぜて冷ましたもの。
- わさび: お好みで。
- 醤油: 寿司用がおすすめ。
- 手酢: 水に少量の酢を混ぜたもの(手にシャリがつくのを防ぐため)。
- 清潔な布巾やキッチンペーパー
下準備:ネタとシャリを整える
美味しい寿司の基本は、良いネタと良いシャリです。
- スルメイカ(ネタ)
- 安全のため、可能であればアニサキス対策として冷凍処理(-20℃以下で24時間以上)をしたものを使うと安心です。
- 解凍後、水気をよく拭き取ります。
- 寿司ネタとして握りやすい大きさ(長さ5〜6cm、幅2〜3cm程度)に切り出します。厚みはお好みですが、5mm程度が目安です。
- 表面に飾り包丁を入れましょう。格子状や斜めに浅く切り込みを入れることで、見た目が良くなるだけでなく、食感が柔らかくなり、醤油が絡みやすくなります。
- 寿司飯(シャリ)
- 炊き立てのご飯に、市販の寿司酢または自家製の合わせ酢(酢、砂糖、塩)を混ぜ合わせます。
- うちわなどで扇ぎながら、切るように混ぜて粗熱を取ります。人肌程度の温かさが握りやすい状態です。
いよいよ挑戦!スルメイカ寿司の握り方手順
さあ、準備が整ったらいよいよ握ってみましょう。
難しく考えず、楽しみながらやるのが一番のコツです。
- 手に手酢をつける: 両手に軽く手酢をつけ、余分な水分は切ります。
- シャリを取る: シャリを適量(ピンポン玉より少し小さいくらいが目安)取ります。
- シャリをまとめる: 右手でシャリを軽くまとめ、左手の人差し指と中指で軽く押さえて形を整えます。空気を含ませるように、ふんわりとまとめるのがコツ。固く握りすぎないように注意!
- わさびをつける: 左手に持ったスルメイカのネタの裏側に、お好みで少量のわさびをつけます。
- ネタとシャリを合わせる: 右手のシャリの上に、左手のネタを乗せます。
- 形を整えて握る: 左手の人差し指と中指でネタを押さえながら、右手でシャリの側面を軽く押さえて形を整えます。親指と人差し指で上から軽く押さえて完成。数回、優しく、しかし崩れない程度に握ります。「手早く」「力を入れすぎない」がポイントです。
美味しく仕上げるためのコツ
- シャリの温度: 人肌程度の温かさがベスト。冷たすぎると硬くなり、温かすぎるとネタに影響します。
- ネタとシャリのバランス: ネタの大きさに合わせてシャリの量を調整しましょう。バランスが良いと一体感が生まれます。
- 飾り包丁: スルメイカの場合は特に重要。食感と味の馴染みが格段に良くなります。
- 握りたてを食べる: 寿司は握りたてが一番美味しいです。完成したらすぐにいただきましょう。
最初は形がいびつになったり、シャリが崩れたりするかもしれませんが、何度か挑戦するうちに必ず上達します。
自宅で握るスルメイカ寿司は、格別の美味しさですよ。ぜひ、ご家族や友人と一緒に楽しみながら作ってみてください。
