プロが教える「釜揚げしらす」の選び方|ちりめんとの違いと正しい保存方法

ふわふわとした食感と優しい塩味で、食卓の人気者「釜揚げしらす」。
しかし、その魅力を本当に引き出せていますか?「しらす干しやちりめんじゃことの違いは?」「スーパーで新鮮なものを選ぶにはどうすれば?」そんな日々の疑問に、食のプロがお答えします。

この記事では、釜揚げしらすの奥深い世界を徹底解説。日々の食卓がもっと豊かになる知識をお届けします。

この記事でわかること

  • 釜揚げしらすとちりめんじゃこの明確な違い
  • プロが実践する、本当に美味しい釜揚げしらすの選び方
  • 鮮度と風味を長持ちさせる正しい冷蔵・冷凍保存術
  • お子様からご年配まで嬉しい、豊富な栄養素の秘密
  • 素材の味を最大限に引き出す、シンプルで美味しい食べ方

しらすの正体から、職人技が光る製法、そしてご家庭で役立つ豆知識まで、専門的な視点からわかりやすく紐解いていきます。
この記事を読み終える頃には、スーパーで釜揚げしらすを選ぶのがきっと楽しくなっているはずです。

さらに、当店自慢の「茨城県大洗産釜揚げしらす軍艦」のこだわりもご紹介。
旬の味覚を存分にお楽しみください。

「釜揚げしらす」とは?今さら聞けない基本と、ちりめんとの違い

スーパーの鮮魚コーナーで、真っ白でふわふわとした「釜揚げしらす」を目にすることは多いでしょう。
ご飯のお供や和え物など、食卓を彩る人気の食材ですが、実は「しらす」が何を指すのか、また「しらす干し」や「ちりめんじゃこ」との違いについて、正確に理解している方は少ないかもしれません。

ここでは、釜揚げしらすの基本から、その加工方法、そして関連する商品との違いを専門家の視点から詳しく解説します。

「しらす」の正体はイワシの稚魚

私たちが「しらす」と呼んでいるのは、主にカタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシなどのイワシ類の稚魚の総称です。
これらの稚魚は、体長が約1~2cmほどで、まだウロコや骨が発達しておらず、透き通った白い姿をしています。

しらすは日本各地の沿岸で水揚げされ、その時期や地域によって漁獲されるイワシの種類は異なります。
新鮮な生しらすは、その透明感とぷりぷりとした食感が特徴で、漁港の近くでしか味わえない貴重な味覚として知られています。

「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ」の違いは水分量

「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ」は、すべてイワシの稚魚である「しらす」を加工した商品ですが、その違いは主に加工方法と水分含有量にあります。
以下の表でそれぞれの特徴を比較してみましょう。

種類加工方法水分含有量(目安)食感・特徴
釜揚げしらす獲れたてのしらすを塩ゆで約70~80%ふわふわ、しっとり、柔らかな食感
しらす干し釜揚げしらすを軽く干したもの約50~60%釜揚げより弾力があり、旨みが凝縮
ちりめんじゃこしらす干しをさらに乾燥させたもの約30%以下硬めで、噛むほどに濃厚な旨みが広がる

この表からもわかるように、釜揚げしらすは最も水分量が多く、その名の通り「釜で茹で上げられた」しらすを指します。
塩ゆですることで、鮮度を保ちつつ、ふっくらとした独特の食感と、ほんのりとした塩味が特徴となります。

職人技が光る「釜揚げ」の製法とは

美味しい釜揚げしらすを作る上で最も重要なのは、鮮度と茹で加減です。
漁獲されたしらすは時間とともに鮮度が落ち、味が変化してしまいます。

そのため、水揚げ後すぐに工場へ運ばれ、大量の熱湯で一気に茹で上げられます。

釜揚げの工程では、職人の経験と技術が光ります。
塩加減、茹で時間、火加減は、しらすの大きさや状態によって微妙に調整されなければなりません。

短すぎると生臭さが残り、長すぎると硬くなったり、旨みが逃げてしまったりします。
適切なタイミングで釜から引き上げ、余分な水分を素早く切ることで、釜揚げしらすならではの「ふわふわ」とした食感が生まれるのです。

この迅速かつ丁寧な加工により、しらす本来の繊細な旨みと、優しい塩味を最大限に引き出した極上の釜揚げしらすが完成します。
スーパーで釜揚げしらすを選ぶ際、この製法に思いを馳せていただくと、その味わいも一層深く感じられるかもしれません。

プロ直伝!美味しい「釜揚げしらす」の選び方と鮮度を保つ保存方法

スーパーマーケットに並ぶたくさんの釜揚げしらすの中から、「本当に美味しい一品」を選び出すのは意外と難しいものです。
「どれも同じに見える…」と感じる方も多いのではないでしょうか。

また、購入後に使いきれず、鮮度を落としてしまった経験はありませんか。
ここでは、私たちが日々目利きしているプロの視点から、新鮮で美味しい釜揚げしらすの選び方と、その風味を長持ちさせる保存のコツを伝授します。

スーパーで見分けるべき3つのポイント(色・形・ツヤ)

パック詰めされた釜揚げしらすを選ぶ際は、ぜひ以下の3つのポイントに注目してください。

  1. : 全体的に青みがかったような透明感のある白色をしているものが新鮮な証拠です。時間が経つと黄色っぽく変色してくるため、避けた方が良いでしょう。稀に、ピンクや赤色をした小さなエビ(アキアミ)などが混ざっていることがありますが、これはむしろ多様な生物がいる豊かな漁場で獲れた証であり、品質が良いことの現れでもあります。
  2. : 一匹一匹の形がしっかりとしていて、ピンと「く」の字に曲がっているものを選びましょう。釜揚げの際に鮮度が良いと、筋肉が収縮してこのようにきれいな形になります。反対に、お腹が切れていたり、形が崩れていたりするものは、鮮度が落ちているか、加工が丁寧でない可能性があります。
  3. ツヤ: パック全体を見て、みずみずしくツヤがあるものが理想的です。パックの底に水分(ドリップ)がたくさん溜まっているものは、時間が経過して旨みや栄養が流れ出てしまっているサインなので注意しましょう。

ふわふわ食感をキープする冷蔵保存のコツと期限

釜揚げしらすは水分が多くデリケートな食材のため、購入後はすぐに冷蔵庫で保存するのが基本です。
買ってきたパックのまま保存するのではなく、ひと手間加えるだけで鮮度が格段に長持ちします。

  • 手順1: 清潔な保存容器の底にキッチンペーパーを敷きます。
  • 手順2: 釜揚げしらすを優しく広げて入れ、その上にもう一枚キッチンペーパーをかぶせます。
  • 手順3: 容器の蓋をしっかりと閉め、冷蔵庫(できればチルド室)で保存します。

この方法で、余分な水分をキッチンペーパーが吸い取り、同時に乾燥も防ぐことができます。
美味しく食べられる期間の目安は、購入後2~3日です。

長期保存なら冷凍!風味を損なわない解凍術

もし期限内に食べきれない場合は、迷わず冷凍保存しましょう。
正しい方法で冷凍すれば、風味をほとんど損なうことなく、約1ヶ月間保存することが可能です。

  • 冷凍方法:
    1食分ずつ小分けにして、空気が入らないようにぴったりとラップで包みます。その後、冷凍用の保存袋に入れて、できるだけ空気を抜いてから冷凍庫へ入れましょう。金属製のトレーなどに乗せて冷凍すると、急速に凍らせることができるため、品質がより保たれます。
  • 解凍方法:
    最もおすすめなのは、冷蔵庫に移してゆっくりと自然解凍する方法です。時間はかかりますが、旨みや栄養の流出(ドリップ)を最小限に抑えられます。急いでいる場合でも、常温解凍や電子レンジでの解凍は、急激な温度変化で品質を損なう原因となるため、避けるようにしてください。

栄養満点!釜揚げしらすが家族の健康に嬉しい人気の理由

釜揚げしらすが多くのご家庭で愛される理由は、その美味しさだけではありません。
実は、小さくて白いその体には、私たちの健康を支える栄養素がぎゅっと詰まっています。

特に、成長期のお子様から健康を気遣う大人まで、あらゆる世代にとって嬉しい栄養が豊富に含まれているのが人気の秘密です。
ここでは、釜揚げしらすが持つ驚くべき栄養価とその働きについて、詳しくご紹介します。

骨の形成に欠かせないカルシウムとビタミンD

釜揚げしらすは、骨や歯の主成分である「カルシウム」を丸ごと摂取できる、非常に優れた食材です。
文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、釜揚げしらす100gあたりに含まれるカルシウムは210mg。

これは、同じくカルシウムが豊富とされる牛乳(100gあたり110mg)の約2倍に相当します。

さらに注目すべきは、カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」も豊富に含まれている点です。
ビタミンDは、カルシウムが体内で効率よく利用されるために不可欠な栄養素で、不足するとせっかく摂取したカルシウムも十分に吸収されません。

釜揚げしらすは、この2つの栄養素を同時に摂取できるため、骨の健康を維持する上で非常に理想的な食材と言えるでしょう。

脳の発育をサポートするDHA・EPA

しらすはイワシの稚魚であるため、青魚に多く含まれることで知られる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」といった必須脂肪酸も豊富です。

  • DHA: 脳や神経組織の発育、機能維持に重要な役割を果たします。特に記憶力や学習能力の向上に寄与するとされ、お子様の成長には欠かせない栄養素です。
  • EPA: 血液をサラサラにし、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を予防する効果が期待されています。

これらの必須脂肪酸は体内でほとんど作ることができないため、食事から積極的に摂取する必要があります。
釜揚げしらすを食卓に取り入れることで、家族の脳と血管の健康を美味しくサポートできます。

塩分は大丈夫?赤ちゃんやご年配の方も安心して食べられる?

「釜揚げしらすは塩ゆでしているから、塩分が気になる」という方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、釜揚げしらすには塩分が含まれており、100gあたりの食塩相当量は約2.1gです。

しかし、一度に100gもの量を食べることは稀で、例えば小鉢一杯(約20g)であれば塩分量は約0.4g程度。
過度に心配する必要はありません。

もし、離乳食で赤ちゃんに与える場合や、塩分を厳しく制限されているご年配の方が召し上がる場合は、簡単な「塩抜き」をおすすめします。
ザルに入れた釜揚げしらすに熱湯をさっと回しかけるだけで、余分な塩分を減らすことができます。

骨まで柔らかく、消化にも良い釜揚げしらすは、適切な下処理をすれば、小さなお子様からご年配の方まで、家族みんなで安心して楽しめる万能食材なのです。

素材の味を活かす!釜揚げしらす、おすすめの美味しい食べ方

新鮮で質の良い釜揚げしらすが手に入ったら、ぜひ試していただきたいのが、素材そのものの味わいを活かすシンプルな食べ方です。
複雑な調理をしなくても、釜揚げしらす本来が持つ繊細な旨みと磯の香り、そしてふっくらとした食感を存分に楽しむことができます。

ここでは、定番からプロならではの視点を加えた、おすすめの美味しい食べ方をご紹介します。

まずはシンプルに!醤油やポン酢で味わう王道の食べ方

何と言っても釜揚げしらすの王道の食べ方は、炊きたての温かいご飯の上にたっぷりと乗せた「釜揚げしらす丼」です。
ほかほかのご飯の湯気でしらすが少し温められ、ふわりと立ち上る磯の香りは格別です。

ここに醤油やポン酢を少し垂らすだけで、しらすの優しい塩味と旨みが引き立ち、口の中いっぱいに幸せな味わいが広がります。
ここで一つ、美味しくいただくためのコツがあります。

それは、調味料をかけすぎないこと。
まずはしらす本来の塩味と風味を確かめてから、味を補うように少量加えるのが、素材を活かすための秘訣です。

薬味で広がる味わいのバリエーション(大葉・生姜・みょうが)

シンプルな釜揚げしらす丼は、合わせる薬味によって驚くほど表情を変えます。
ぜひ、お好みの組み合わせを見つけてみてください。

  • 大葉: 千切りにした大葉を散らせば、その爽やかな香りがしらすの風味と絶妙に調和し、後味をさっぱりとさせてくれます。
  • 生姜: すりおろした生姜を加えると、その清涼感のある辛味が全体の味をキリッと引き締め、食欲をそそります。
  • みょうが: 小口切りにしたみょうがは、シャキシャキとした食感と独特の風味がアクセントになり、上品な大人の味わいを演出します。
  • その他: 刻みネギやゴマ、刻みのりなども相性抜群です。卵黄を乗せれば、濃厚でまろやかな味わいもお楽しみいただけます。

酢飯との相性抜群!お寿司屋さんの定番「釜揚げしらす軍艦」の魅力

私たち寿司職人が特におすすめしたいのが、酢飯と釜揚げしらすの組み合わせです。
お店で人気の「釜揚げしらす軍艦」は、まさにその相性の良さを最大限に活かした一品と言えるでしょう。

なぜこれほどまでに相性が良いのか。
それは、酢飯のまろやかな酸味が釜揚げしらすの塩味と旨味を絶妙に引き立て、互いの良さを高め合うからです。

また、人肌の温かさを持つシャリが、しらすの繊細な香りをふわりと引き立てます。
ご家庭で楽しむ際は、軍艦巻きにするのはもちろん、手巻き寿司の具材の一つに加えたり、ちらし寿司の上にたっぷりと散らしたりするのも手軽で大変おすすめです。

素材の味を活かしたシンプルな食べ方だからこそ、釜揚げしらす本来の美味しさを再発見できるはずです。

回転寿司かねきのこだわり「茨城県大洗産釜揚げしらす軍艦」

釜揚げしらすの美味しさは、何よりもその「鮮度」に左右されます。
私たち回転寿司かねきでは、お客様に最高の状態で旬の味覚を味わっていただくため、素材の選定から一貫してこだわり抜いています。

この秋、自信を持っておすすめするのが「茨城県大洗産釜揚げしらす軍艦」です。
当店ならではの特別な一皿に込めた想いと、その魅力をご紹介します。

旬の味覚!茨城県大洗港産の釜揚げしらす

当店の釜揚げしらす軍艦の主役は、全国でも有数のしらすの産地として知られる、茨城県の大洗港で水揚げされたしらすです。
大洗の沖合は、親潮と黒潮が交わる豊かな漁場であり、ここで育ったしらすは餌が豊富なため、旨みが強く、身がふっくらとしているのが特徴です。

職人が握るシャリとの一体感が生む、ふんわり食感

どれだけ良い素材を使っても、それを受け止めるシャリとのバランスが取れていなければ、本当に美味しいお寿司にはなりません。
かねきのシャリは、ネタの味を最大限に引き立てるよう、酢の配合や米の硬さ、そして温度管理を徹底しています。

釜揚げしらす軍艦では、人肌に保たれた温かいシャリの上に、ふんわりと釜揚げしらすを乗せます。
シャリの温かさがしらすの繊細な香りを優しく引き立て、口に運んだ瞬間、しらすとシャリが一体となり、極上の味わいをお楽しみいただけます。

パリッとした海苔の食感と風味も加わり、一貫で多層的な味わいを楽しめるのが、職人が握る当店ならではのこだわりです。

今しか味わえない特別な一皿をぜひ当店で

この「茨城県大洗産釜揚げしらす軍艦」は、しらすが最も美味しくなる旬の時期に合わせ、『9月のおすすめ』メニューとしてご提供しております。
新鮮な釜揚げしらすを、職人の技で一貫に凝縮した、この時期にしか味わえない特別な美味しさです。

ご家族皆様で、回転寿司かねきが自信を持ってお届けする旬の味覚を、ぜひご賞味ください。

まとめ:釜揚げしらすの知識を深めて、日々の食卓を豊かに

今回は、身近な食材でありながら奥が深い「釜揚げしらす」について、その基本から栄養、美味しい食べ方までを詳しく解説してきました。

釜揚げしらすは、単にイワシの稚魚を茹でただけのものではありません。
そのふわふわとした食感や豊かな風味は、水揚げ後の迅速な処理と、職人による絶妙な塩加減と茹で時間があってこそ生まれるものです。

カルシウムやビタミンD、DHAといった栄養素が豊富なことも、ご家庭の食卓で人気を集める大きな理由です。

今回ご紹介した選び方や保存方法、そして薬味を活かしたシンプルな食べ方を実践していただくだけで、ご家庭での釜揚げしらすが一段と美味しく、豊かなものになるはずです。

そして、もし「最高の鮮度と職人の技が融合した、格別の釜揚げしらすを味わってみたい」と感じていただけたなら、ぜひ一度、私たちのお店へお越しください。
9月のおすすめ』としてでご提供する「茨城県大洗産釜揚げしらす軍艦」は、この記事でお伝えした釜揚げしらすの魅力を、お寿司という形で最大限に引き出した自信作です。

この知識が、皆様の食卓をより豊かにする一助となれば幸いです。